外国人からは、着物は日本の民族衣装として認識されており、人気も非常に高い衣装です。
着付けの心得がある方ならば、日本文化を紹介するという意味でも海外旅行で着物を披露したいとお思いではないでしょうか?
でも、海外で着物を身に付けることは、注目されるということで、それなりのリスクも伴います。
私の着物の着付けの先生が、日本文化を海外に広げるために渡航にはいつも着物を着用していますが、先生から着物着用における注意点を聞いたので、詳しくお伝えしますね。
Contents
海外旅行で着物は危険だから避けた方がいいと言われる理由
海外旅行で着物を着用する場合のデメリット
せっかく着付けもならったし、着物もそろえたし、今度の海外旅行は、どこかのタイミングで着物を着てみたい、と思うかもしれませんが、海外で着物を着用する際には、次のデメリットがあります。
入国チェックで引っかかる可能性がある
これは以前、私が実際に見かけたことですが、男性が羽織とハカマという、今は日本の中でも行事の時しか見かけない格好で出国し、海外(アメリカだったかな?)で入国チェックを受けている時、奥から係員が出てきて連れて行かれるのを見ました。
原因は、誰が見ても一人浮いていて、「見慣れない怪しい格好をしていたから。」だと思います。
その後、その男性が入国できたかどうかはわかりません。
多民族国家の外国でさえダメなんだ、と強く思ったことがあります。
なので、飛行機に乗る時は、入国の際の身体検査のことを考えて、身軽な格好がよいと思います。
ただ、私の着物のお師匠さんは、飛行機もそれ用の簡易な着物を着ているということですが。
場所によっては着物禁止
ドレスコードがある施設では、民族衣装とみられ禁止される場所もあります。
目立つ
日本において、チマチョゴリやサリーを着ている方を見かけたときの反応を思い浮かべてみてください。
やはり普段見慣れない衣装のためにとても目立ちます。
反日感情
国や場所、相手によっては、きつい物言いをされたり、いわれのない文句を言われたりする場合もあります。
荷物が増える
着慣れた方なら、洋服を少しと着物をうまく着まわせるセットでパッキングできるかもしれませんが、慣れないと、あれもこれもと荷物がとても増えてしまいます。
活動的ではない
石畳や階段、坂などが多い地域に行く場合、動きづらい、歩きづらいということがあります。
上手に洋装を取り入れて、ブーツと合わせるなどのコーディネイトでもよいかもしれません。
気候によってはまったく向かない
高温多湿の熱帯や極寒の地域には着物は向きません。
ホテルからタクシーで目的地に移動なら良いかもしれません。
食事がしずらい
帯がきつくて、せっかくの食事があまり食べられないということになりかねません。
そして、気分が悪くなっても、着物ではすぐに着替えられないなどの不便もあります。
日本人とすぐわかる
お金持ちと思われて、スリや身代金目当ての誘拐犯に狙われやすくなります。
汚れが心配
洗える着物ならよいのですが、正絹などではそういうわけにもいきません。
海外の歩道など場所によってはぬかるんでいたり、犬の糞など日本ではありえないくらいに落ちている国もあります。
トイレなども衛生的でないところも多々あります。
それを覚悟して行く場合、汚れてもよい着物、トイレなどでは、たすきがけができる紐を1本持っていくと役に立ちます。
海外で着物が危険な理由
上のデメリットでも説明した通り、とにかく着物は目立ちます。
海外で着物を着られる日本人は金持ちに違いないと犯罪に巻き込まれやすくなります。
スリに合いやすい
持ち手のない着物用のクラッチタイプのバッグはスリには格好の獲物です。
道行の下に目立たないように腕を通せるバッグを持つなど対策を考えましょう。
帯が切られやすい
慣れたプロのスリになると、着物の構造も知り尽くしています。
帯揚げや、どこを引っ張れば帯がほどけるなど理解しているため、「帯がほどけた!」と焦っているうちに荷物を持ち去られる可能性もあります。
誘拐
着物の長い袖は車などに引きずり込むのに便利。
身代金目当ての誘拐に気を付けましょう。
海外旅行に着物を着る場合のメリット
海外では「富士山」「寿司」「着物」などは日本を象徴するものとして広く知られており、写真も伴って、多くの国で日本を表すものとして認識されています。
そんな海外で着物を着用するメリットとは何でしょうか?以下に示します。
優しくされる
日本人は、マナーもよく、お金の使い方も綺麗なので、海外でとても好意的に受け入れられています。
着物を着ていると、明らかに日本人と認識されるので親切にしてもらえます。
褒められる・コミュニケーションを取りやすい
訪れる国にもよりますが、男性なら「サムライ」、女性なら「お姫様」のように扱われます。
市場などではおまけしてくれたりなど、サービスがよくなる。
写真を一緒に撮って欲しいと頼まれる。
注目されて話しかけられる回数も多くなるので、コミュニケーションがとりやすくなります。
ちなみに海外の人から見ると無地の着物より柄物の方が受けが良いという傾向もあります。
海外で聞かれた時のために、着物に対する質問の答えを用意しておきましょう
Q:どんな時に着物を着る?
A:結婚式、七五三、お正月、卒業式、成人式など
Q:日本人なら誰でも着物を持っていて、自分で着られる?
A:残念ながらNO。浴衣ぐらいなら大抵の人は着られると思うけど。
Q:浴衣と着物はどう違うの?
A:着物は「japanese traditional garment」伝統的な衣装、浴衣は夏用のカジュアルな着物
海外旅行で着物を着る場合の危険の避け方!
帯の下に荷物をまとめる
着物用ではありませんが、なかなか使えるシークレットポーチがあります。
帯の下に巻いて貴重品をしまって移動すれば、手にバッグを持つ必要もありませんし、ねらわれにくくなりますネ。
入国チェックでは、これらも皆、はずすことを要求されかねないので、現地に着いてから着用してください。
スマホは帯紐にくくりつける
スマホも高価なので、海外では写真撮影中に狙われやすいものです。
紐などをつけて、腰紐などにくくりつければ盗難防止になります。
道行を着る
シークレットポーチなどに入らない荷物などは肩掛けバッグなどに入れて、上から道行を着ます。荷物を持っていることすら気づかれません。
移動がメインの時は洋服にする
日本の道路のように舗装が行き届いて、歩道も綺麗なところばかりではありません。
ローヒールやスニーカーで移動したほうが、はるかに楽ちんです。
犯罪に巻き込まれにくい、巻き込まれても逃げやすい服装が移動には向いています。
観光など日中に動き回るときは洋装で、観劇やレストランに行く時は着物で、タクシーなどを利用して移動します。
大きなホテルでしたら、ホテル内のバーやラウンジでは着物、というのもよいでしょう。
着物をスーツケースの中にコンパクトに収納できればホテルについてからの着替えも簡単です。
以下のサイトで持ち運びに便利な着物収納用の畳袋を紹介しているのを発見!
まとめ
海外旅行での着物着用は危険が一杯です。
でも、文化の違う国では、洋装でも和装でも、対策をきちんと立てていなければ、危険であることには変わりはありません。
「危険な場所に近寄らない」「不必要な荷物は持ち歩かずに預ける」「優しくされても簡単に気を許してはいけない」など、海外旅行では常に気を引き締めていることが大切です。
それさえ踏まえていれば、着物は日本の伝統文化・正式な民族衣装です。
きちんとマナーを守って、着方などもマスターしたうえで、気を付けていれば楽しい旅のアイテムになり得ます。
着物で旅慣れた方が一緒だと、なおさら心強いですね。
私もいつか先生と着物で海外に出かけたいと、密かに思っているんですヨ。
コメントを残す