更年期に「ずっと眠い」と感じる人へ~体に起きている変化と対策

更年期になってから「とにかく眠い」「何時間寝てもすっきりしない」と感じることは、周囲の同年代の女性たちを見ても共通する悩みのようです。

朝起きても疲れが残っていたり、昼間に強い眠気に襲われたりすることで、家事や仕事に支障をきたすこともあります。「年だから疲れが残ってしまうのかな?」などと思っている人もいるのでは?

ここでは、更年期に眠気が続く主な理由と、生活の中でできる対策、そして医師に相談すべきサインについてまとめています。眠さを単なる年齢のせいと決めつけず、体が教えてくれるサインかもしれないので、本編を最後まで読んでください~。

更年期に「ずっと眠い」と感じるのはなぜ?

更年期で「とにかく眠い」「いくら寝ても眠気が取れない」と感じるのは、私だけではなかったことがわかりました。

これは単なる年齢のせいではなく、体の内部で起こるホルモンや自律神経の変化睡眠の質の低下代謝の衰え、さらには心の不調など、複数の要因が重なって起きている場合があります。ここでは代表的な4つの原因を見ていきましょう。

女性ホルモンの減少と自律神経の乱れ

更年期の大きな変化は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減ることです。エストロゲンは生殖機能だけでなく、自律神経(体温や血圧、睡眠リズムを調整する神経系)の働きを支える役割を担っています。そのため、エストロゲンが低下すると体温調節や睡眠のリズムが乱れやすくなり、日中に強い眠気を感じやすくなります。

厚生労働省も、更年期障害の代表的な症状として「倦怠感」「睡眠障害」「のぼせ・ほてり」などを挙げており、自律神経の乱れと深く関わっていることを示しています【出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「更年期障害」】。

このように、更年期にホルモンが減少することで体のリズムが乱れ、常に眠気を感じやすい状態になるのです。

睡眠障害(不眠・中途覚醒)による日中の眠気

更年期の女性に多いのが、夜の睡眠の質が下がることです。

夜中に何度も目が覚める中途覚醒や、寝つきが悪い入眠障害、早朝に目覚めてしまう早朝覚醒など、いわゆる「不眠症状」が増える傾向があります。その背景には、自律神経の乱れに加えて、ホットフラッシュと呼ばれる急な発汗やのぼせが夜間に起こることが大きく関係しています。

結果として、夜にぐっすり眠れず、翌日になっても疲労感が抜けずに「ずっと眠い」と感じるのです。

日本産科婦人科学会も、更年期における代表的な症状として「不眠」や「睡眠障害」を明記しています【出典:日本産科婦人科学会「更年期障害」】

夜眠れないことが日中の強い眠気につながる、という悪循環が、更年期特有の眠さの背景にあるのです。

体力や代謝の低下

加齢とともに基礎代謝(生きているだけで消費するエネルギー量)や筋肉量は低下します。筋肉はエネルギー代謝に深く関わるため、筋力の低下はエネルギー不足や疲労感の原因になります。疲労が溜まりやすい体になると、日中に体を動かすだけで「すぐに眠くなる」「だるい」といった感覚が強まります。

国立健康・栄養研究所も、中高年期には加齢に伴う筋肉量の減少が進み、活動量の低下や疲労感に直結することを示しています【出典:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf】。

このように、体力の低下は眠気そのものを直接引き起こすわけではありませんが、「疲れがとれにくい体」をつくり、結果的に一日中眠いという状態を助長します。

うつ症状や心の不調が眠気につながることも

更年期は心の不調が現れやすい時期でもあります。女性ホルモンの低下は脳内のセロトニンやドーパミン(気分や意欲に関わる神経伝達物質)の働きにも影響するため、気分が落ち込みやすくなります。その結果、いわゆる「更年期うつ」と呼ばれる状態が起こり、強い倦怠感や過眠傾向が出ることがあります。

厚生労働省も、更年期には「精神神経症状」として抑うつ気分、不安感、意欲低下が生じることを示しています【出典先:一宮市立市民病院 薬剤科発行刊行物こうした心の不調が眠気を一層強める場合もあるのです。

眠気は体の変化だけでなく、心の状態とも深く結びついていることを知っておくことが大切です。

放置しても大丈夫?病気が隠れている可能性

更年期の眠気はホルモン変化によることが多い一方で、別の病気が関わる場合もあります。長く続く、いびきを指摘される、体調変化が大きいといった場合は医療機関での確認をおすすめします。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が繰り返し止まり、深い睡眠が妨げられる病気です。大きないびきや無呼吸の後に覚醒反応が起こり、強い日中の眠気が出やすくなります。放置すると高血圧や心血管リスクの増大とも関連します。
【参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」】https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-026.html 健康日本21

甲状腺機能の異常

甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症では、無気力、疲労感、体重増加、便秘などに加え、傾眠(眠気)を呈することがあります。更年期症状と紛らわしいため、血液検査での鑑別が有用です。
【参考:日本内分泌学会「甲状腺機能低下症|一般の皆様へ」】https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=38 J-endo

貧血や生活習慣病の影響

鉄欠乏性貧血では、ヘモグロビン低下により全身への酸素供給が不十分となり、疲労感や集中力低下などが生じます。疲れやすさや眠気の自覚につながることがあります。
【参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」】https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-022.html 健康日本21
【参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「Hb/血色素量」】https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-074.html 健康日本21

また、糖尿病などの生活習慣病では、血糖コントロール不良により易疲労感が現れることがあり、日中の強い倦怠感・眠気の一因となります。
【参考:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病とは」】https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html 糖尿病情報センター

「ずっと眠い」ときの対策

更年期に「ずっと眠い」と感じるのは、ホルモンや自律神経の変化による自然な現象である場合が多いですが、だからといって放置してよいわけではありません。

日常生活に支障が出るほどの眠気は、工夫を取り入れることで和らげられることがあります。

ここでは、生活習慣や環境の見直し、心の安定、そして「どうしても眠いとき」の対処法について紹介します。

生活習慣の改善

まず取り組みたいのは、毎日の生活リズムを整えることです。就寝と起床の時間をできるだけ一定にすることで、体内時計(概日リズム)が安定し、睡眠と覚醒の切り替えがスムーズになります。

適度な運動も効果的です。強い運動でなくても、毎日の散歩や軽いストレッチは血流を促し、自律神経の調整に役立ちます。厚生労働省は「歩行相当(中強度以上)の身体活動を1日60分以上」「息が弾む運動を週60分以上」「筋トレを週2~3日」推奨しています【出典:e-ヘルスネット「推奨シート:成人版」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-002.html】

また、食事面では栄養バランスを意識しましょう。特に鉄分やビタミンB群、良質なたんぱく質は、疲労回復や神経の安定に関わる栄養素です。食事の乱れが眠気を強めることもあるため、規則正しい食習慣が大切です。

睡眠環境を整える

眠気を改善するには、夜の睡眠の質を高めることも重要です。寝室の環境を見直し、快適な温度(夏は25℃前後、冬は18℃前後)と湿度(50〜60%程度)を保つことが推奨されています【出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014】。

就寝前にスマートフォンやパソコンを長時間使用すると、ブルーライトの影響でメラトニン(睡眠を促すホルモン)の分泌が抑えられ、眠りが浅くなります。就寝の1時間前は画面を見る時間を控えるよう心がけましょう。

さらに、寝る前にぬるめのお風呂に浸かることも有効です。入浴で一度体温を上げ、その後下がる過程で自然な眠気が訪れます。

気持ちの安定を意識する

更年期は気分の浮き沈みや不安感が強まりやすく、これが眠気や倦怠感を悪化させることがあります。心身を落ち着けるために、呼吸法や軽い運動を生活に取り入れるとよいでしょう。

腹式呼吸は副交感神経を優位にし、リラックスを促します。また、ストレッチや軽いピラティスは体をやさしく動かしながら呼吸を深められるため、更年期女性にも無理なく続けやすい運動です。

「気持ちを整えること」も眠気対策の一部と考えると、プレッシャーなく取り組めます。

どうしても眠いときの工夫

どんなに工夫しても、日中に強い眠気が出ることはあります。そのときに大切なのは「我慢しすぎない」ことです。

おすすめは短時間の昼寝です。15〜20分ほど目を閉じるだけでも脳が休まり、午後の集中力が回復します。ただし30分以上眠ると深い睡眠に入ってしまい、かえって寝起きがだるくなることがあるため注意が必要です。

また、仕事や家事の合間に小休憩をはさむのも効果的です。温かい飲み物をゆっくり飲む、窓を開けて深呼吸するなど、短時間でも体をリフレッシュできます。

医師に相談すべきタイミング

更年期の眠気は、ホルモンバランスや自律神経の変化による一時的なものとして説明されることが多いですが、すべてを「更年期だから仕方がない」と決めつけてしまうのは危険です。強い眠気の背景には、睡眠障害や内分泌疾患、生活習慣病などの病気が隠れている場合もあります。

では、どのようなときに医師へ相談すべきなのでしょうか。

眠気が数週間以上続く

一時的な眠気であれば生活習慣の工夫で改善することもありますが、数週間から1か月以上「眠い状態が続く」ときには注意が必要です。特に十分に眠っているはずなのに日中の眠気が取れない場合、睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能低下症など、医学的な原因が関わっている可能性があります。

厚生労働省も、強い眠気が慢性的に続く場合には医療機関の受診をすすめています【出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠障害」】。

強い疲労や動悸・息切れを伴う

眠気に加えて「体のだるさが強い」「階段を上がるとすぐ息が切れる」「動悸が続く」といった症状がある場合は、心臓や肺の機能、または甲状腺の病気や貧血などが関係している可能性があります。

たとえば甲状腺機能低下症では、代謝が落ちることで疲労感や眠気が出やすくなります【出典:日本内分泌学会「甲状腺機能低下症https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=38】。また、鉄欠乏性貧血では酸素を運ぶ能力が低下し、全身の倦怠感や眠気、息切れなどが目立ちます【出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄】。

日常生活に支障がある

「眠気で仕事に集中できない」「家事の途中で横にならないと動けない」など、生活に支障をきたす場合も受診を検討しましょう。更年期症状の一部であったとしても、症状が強い場合にはホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などの治療で改善する可能性があります。

日本産科婦人科学会も、更年期障害が日常生活に影響を及ぼしている場合には婦人科での相談を推奨しています【出典:日本産科婦人科学会「更年期障害」

家族から「いびきや無呼吸」を指摘された

本人は気づきにくいのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。睡眠中に呼吸が止まるため深い眠りが妨げられ、翌日の強い眠気につながります。もし家族から「寝ているときにいびきがひどい」「呼吸が止まっている」と指摘された場合は、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。

厚生労働省も、睡眠時無呼吸症候群は放置すると高血圧や心筋梗塞などのリスクを高めると警告しています【出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群」】

まとめ

更年期に「ずっと眠い」と感じるのは、多くの場合エストロゲンの減少による自律神経の乱れや、夜間の睡眠障害、体力や代謝の低下、さらには気分の落ち込みなどが重なって起こる自然な変化です。

ただし、睡眠時無呼吸症候群や甲状腺の異常、貧血や生活習慣病など、他の病気が眠気の背景にあることもあるため、長引く場合や生活に支障をきたす場合には受診が大切です。

日常生活の中では、規則正しい睡眠リズムや食事、軽い運動を取り入れること、寝室環境を整えること、呼吸法やストレッチで心身を落ち着けることが効果的です。

また、どうしても眠いときは短い昼寝や小休憩を取り入れるなど、無理をせず体と相談しながら工夫することがポイントです。「年齢のせいだから」と我慢するのではなく、小さな対策を積み重ねて、少しずつ快適な毎日を取り戻していきましょう。